長野地方裁判所 昭和44年(わ)105号 判決 1970年6月29日
主たる事務所
長野市大字北長池一、四四三番地二
株式会社麻場製作所
右代表者代表取締役
麻場恒男
本籍
長野市大字三輪二一番地
住居
同市大字三輪字荒屋神境一、一九七番地
会社役員
麻場恒男
大正一四年一月六日生
主文
被告人株式会社麻場製作所を罰金一五〇万円に、被告人
麻場恒男を懲役四月に、それぞれ処する。
被告人麻場恒男に対し、この裁判確定の日から二年間そ
の刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人麻場恒男の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する。
(証拠の標目)
引用判示の公訴事実冒頭の事実につき
一、登記官吏作成の登記簿謄本
同第一につき
一、大蔵事務官作成の昭和四一年七月二八日提出にかかる法人税確定申告書写および同年四月三〇日決定にかかる法人税更正決議書写の各証明書
一、大蔵事務官作成の大島武二に対する昭和四四年三月五日付質問てん末書
一、小池則夫作成の答申書
一、長野地方事務所長作成の証明書
一、関谷茂雄の検察官に対する供述調書
一、押収してある仕入帳二綴(昭和四五年押第一六号の四および一一)および売上帳(同一)・小切手帳控(同三)・大学ノート(同九)・金銭出納帳(同一二)各一冊ならびに領収証綴(同二)・商品元帳(同六)各一綴
同第一および第二につき
一、大島武二作成の答申書および同人の検察官に対する供述調書
一、押収してある仕入帳(昭和四五年押第一六号の五)・商品元帳(同七)・領収書綴(同一〇)各一綴
同第二につき
一、大蔵事務官作成の昭和四二年七月二八日提出にかかる法人税確定申告書写の証明書
一、押収してある売上帳(昭和四五年押第一六号の一五)・運転日報(同一六)各一綴
同第二および第三につき
一、大蔵事務官作成の調査報告書
一、押収してある仕入帳三綴(昭和四五年押第一六号の一三、一七、一九)および商品元帳(同一四)・売上帳(同一八)各一綴
同第三につき
一、大蔵事務官作成の昭和四三年七月三一日提出にかかる法人税確定申告書写の証明書
一、大蔵事務官作成の伊藤紀夫・海野良久に対する各質問てん末書
一、荒井整・和田亮・稲葉博作成の各答申書
一、白土百合子の検察官に対する供述調書
一、押収してある仕入帳(昭和四五年押第一六号の二〇)・商品元帳(同二一)・売上帳(同二二)各一綴および麻場ダライ粉支払明細メモ一枚(同二三)ならびに手帳一冊(同二四)同第一ないし第三につき
一、大蔵事務官作成の中村伊八に対する質問てん末書
一、堀木篤・中村伊八・太田庄吉・武田千秋・野上聡明・石黒利一・鈴木康之・長嶋貞雄・原田秀三・田中賢之助作成の各答申書
一、大蔵事務官作成の簿外預金調査関係書類、簿外預金利息末収金調査関係書類、簿外有価証券調査関係書類および現金預金有価証券宝石鎖印章確認書
一、小林信治作成の証明書
一、中村伊八・太田庄吉の検察官に対する各供述調書
一、押収してある得意先名簿一冊(昭和四五年押第一六号の八)同全般につき
一、被告人の検察官に対する供述調書二通
一、被告人の当公判廷における供述
(法令の適用)
引用判示の公訴事実第一ないし第三所掲の被告人麻場恒男の各所為はいずれも法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文・一〇条により犯情最も重い公訴事実罪一所掲の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役四月に処し、被告人株式会社麻場製作所に対しては法人税法一六四条一項により被告人麻場恒男の右各違反行為につき同法一五九条一項所定の罰金刑を科すべきところ、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人株式会社麻場製作所を罰金一五〇万円に処し、被告人麻場恒男に対しては情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文を適用してこれを被告人麻場恒男に負担させることとする。
よつて主文のとおり判決する。
出席検察官 大和谷毅
(裁判官 金野俊雄)
起訴状
左記被告事件につき公訴を提起する。
昭和四四年七月一九日
長野地方検察庁
検察官検事 大和谷毅
長野地方裁判所殿
一、被告人
(一) 本店所在地 長野市大字北長池一、四四三番地二
法人名 株式会社 麻場製作所
代表者住居 長野市大字三輪字荒屋神境一、一九七番地
代表者名 麻場恒男
(二) 本籍地 長野市大字三輪二一番地
在居 同市大字三輪字荒屋神境一、一九七番地
職業 会社役員
二 公訴事実
被告人株式会社麻場製作所は、長野市大字北長池一、四四三番地二に本店を置き、噴霧器部品の製造等の事業を営むもの、被告人麻場恒男は、右会社の代表取締役であつて、同社の業務一切を統括しているものであるが、被告人麻場恒男は、右会社の業務に関し、法人税を免れる目的を以て、売上の一部を簿外にしたり、架空仕入れを計上するなどの不正の行為により、
第一、昭和四一年七月二八日・所轄長野税務署長に対し、被告人会社の昭和四〇年六月一日より昭和四一年五月三一日までの事業年度における所得金額が一四、六五九、三五三円であつて、これに対する法人税額は四、九四五、二〇〇円であるのに、同事業年度における所得金額が一、七一三、七八四円で、これに対する法人税額は三四三、一九〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の同事業年度の法人税四、六〇二、〇〇〇円を逋脱し
第二、昭和四二年七月二八日、前記税務署長に対し、被告人会社の昭和四一年六月一日より昭和四二年五月三一日までの事業年度における所得金額が七、八五八、三三六円であつて、これに対する法人税額は二、五〇九、九〇〇円であるのに同事業年度における所得金額が一、四三〇、三四九円でこれに対する法人税額は三七〇、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の同事業年度の法人税二、一三九、九〇〇円を逋脱し
第三、昭和四三年七月三一日、前記税務署長に対し、被告人会社の昭和四二年六月一日より昭和四三年五月三一日までの事業年度における所得金額が一五、八〇九、三三三円であつて、これに対する法人税額は五、二三七、二〇〇円であるのに、同事業年度における所得金額が五、〇六五、七五七円でこれに対する法人税額は一、四八五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の同事業年度の法人税三、七五一、九〇〇円を逋脱し
たものである。
三、罪名および罰条
法人税法違反 同法第一五九条第一六四条